今まで、au系MVNOとiPhoneの組み合わせの場合は、テザリングができないことが前提でしたが、UQ mobileでは、一部のiPhoneとSIMカードの組み合わせで、テザリングが可能、APNの設定も不要(APN構成プロファイルのインストールが不要)となりました。
「APN構成プロファイルのインストール不要 & テザリングができる」というのは、au系MVNOの中で「UQ mobile」だけです。「IIJmio タイプA」や「mineo Aプラン」といった、その他のau系MVNOでは一切対応していません。
なぜ「UQ mobile」だけ対応しているのかというと、「キャリアバンドル/キャリアプロファイル」(キャリア設定アップデート)が大いに関係してくるのですが、このあたりの話も交えて、実際に試してみたことを紹介したいと思います。
APNの設定不要、テザリングが可能になる条件は?
APN設定不要(APN構成プロファイルをインストールする必要なし)&テザリングが可能になるためには、複数の条件があります。然程、厳しくはないですが、全てのクリアしなければならないため、誰でもAPN不要&テザリングが可能となるわけではありません。
まずは、条件を確認してみましょう(条件は全てクリアしなければなりません) ↓
- UQ mobileのマルチSIM(au VoLTE対応SIM)
- キャリアアップデートでUQ mobile 26.1に
- iPhone 6s/6s Plus/SEのどれか(SIMフリーまたはSIMフリー化が必要)
- iOS 10.0〜 ※1
※1 iOS 9.xでも問題なく使える可能性もあります。(だれか検証した人いれば、教えてください。) iOS10〜と記載したのは、キャリアアップデートの最新版である「26.1」がiOS10以降から配信となっているみたいだからです。
UQ mobileではマルチSIM(VoLTE対応SIM)以外に、VoLTE非対応のSIMも取扱があります。契約時に間違いなく、マルチSIMを選ぶようにしましょう。
キャリア設定は、最新版がインストールされていなければ、SIMカードを挿した時にポップアップで、アップデートするかどうかの確認がでてきます。この条件は誰でもアップデートすれば解決するものなので特に問題ないでしょう。
iPhoneは、6s/6s Plus/SEのみとなります。持っているiPhone、または、今から購入予定のiPhoneが条件にあてはまるのか、確認しましょう。特に2016年10月末時点では、iPhone 7には対応していないことに留意してください (こちらも後ほど検証したものを解説します)。
今回のAPN不要&テザリング可能になる部分で大きな関わりがあるのが「キャリアアップデートでUQ mobile 26.1にすること」です。2016年10月末あたりにキャリア設定アップデートが配信されており、アップデートすることでキャリアバンドルにUQ mobileの情報が記載され利用できるようになります。
※ UQ mobileから「iPhone 5s + 非VoLTE SIM」が販売されており、こちらもAPN構成プロファイル不要、テザリングが可能となっていますが、こちらはiPhone 5s専用の非VoLTE SIMが発行されているので、今回は事例に含めていません。
UQ mobileの端末一覧にも記載あり
UQ mobileの端末一覧でも、iPhone 5s(UQ版)/6s/6s Plus/SEの情報が記載されています。
例えば、iPhone 6 SIMフリー版などは下記のようになっています。
APN手順書は「-」となっており、設定等必要なしとなっている
(端末一覧ページに「-:お使いの端末が対応していません」との記載があるが、iPhoneで対応していないのではなく、設定の必要がないという解釈で問題ない。分かりにくい…)
もうちょっと利用者に分かりやすいように記載してほしいですが、とにかくAPNの設定は必要ないことが分かります。
今回の題材とは全く関係のないことですが、iPhoneは5s(UQ版)、6s、6s Plus、SEしか動作一覧に記載がなく、他のiPhone(5s SIMフリーや6、7など)の情報がないのは、ちょっとどうかな…とも…。
UQ mobile x iPhone 6s Plusで試してみた!
では、実際に試してみた結果を簡単に紹介したいと思います。SIMカードの情報は下記の通り。
- UQ mobile マルチSIM(au VoLTE対応SIM)
- 契約プランはデータ高速プラン(3GB)
あまり意味がない情報ですが、データ高速プラン(3GB)での利用です(ぴったりプランなどの2年縛りではないプランでも使えるよ!ということが伝わればと思います)。
今回利用したiPhoenの情報は下記の通り。
- iPhone 6s Plus(ドコモ版 → SIMロック解除済み)
- iOS 10.0.1
- キャリア設定 UQ mobile 26.1
管理人が保有するiPhone 6s Plusはドコモ版ですが「SIMロック解除」を行なっており、SIMフリー化しています。ドコモ版だろうとau版だろうと、SIMロック解除してしまえば、Apple Storeで販売されているSIMフリー版と同じです。
このSIMフリーにしたiPhone 6s Plusに、UQ mobileのマルチSIMを挿してみました ↓
UQ mobileのSIMには「UQ mobile」のロゴマークが
(IIJmioやmineoのSIMには自社ロゴはありません)
SIMカードの表面に記載されているICCID(ICカード固有番号)は、89813000581*******と表示され、「89813000581」はUQ mobileのマルチSIM(VoLTE対応SIM)を挿しています。
※ 89に続く「81」は日本、次の「300」はKDDIを示す。「0581」がUQ mobileのマルチSIM(VoLTE対応SIM)を表す模様。
挿入後、そのまま待っていると、アンテナピクト部分にUQ mobileと表示されます。
テザリング(インターネット共有)も可能です ↓
テザリングを利用してZenFone 3に繋いで速度測定してみた。
それにしてもUQ mobileはMVNOとは思えないほど!かなり速い!
テザリングもバッチリOKでした。
UQ mobile(au系MVNO)でテザリングできるようになる日がこんなに早く来るとは思ってもいませんでした!特にUQ mobileは速度面で優位なMVNOなので、iPhone利用者でもテザリングを利用してPCやタブレットに繋ぎ、ネットサーフィンや動画を見たい方も多いと思います。願ったり叶ったりですね!
UQ mobileだけAPN構成プロファイル不要やテザリングが可能な理由は?
見てきた通り、au系MVNOでは「UQ mobileだけ」がAPN不要、テザリング可能になっており、IIJmioやmineoでは出来ないことに疑問を持ちませんか?
理由は「キャリアバンドル」に各事業者の情報が記載されているか・されていないかの違いです。
キャリアバンドルとは、APNやテザリング、メールなどの設定が各通信事業者ごとに細かく設定されているものです。
キャリアバンドルに記載されていれば、特に何もしなくても、SIMカードを挿入するだけで各通信網に繋がるようになっています。
ドコモやauなどでiPhoneを使っているユーザーは、何もしなくてもデータ通信ができていますよね。キャリアバンドルに自社の情報が記載されていれば、自動的に繋がります。
ただ国内のMVNOでは、このキャリアバンドルに自社の情報が記載されていることはなく、データ通信をするために、自ら「APN構成プロファイル」をインストールする必要があります。例えば、IIJmioならば、IIJmio用のAPN構成プロファイルを自分でダウンロードしてインストールしないとデータ通信ができません。
最近、UQ mobileだけ記載されるようになり、キャリア UQ mobile 26.1で、UQ mobileのVoLTE対応SIMについての情報がのっているため、特にAPN構成プロファイルをインストールする必要なく、自動的に「UQ mobile」に繋がるようになったわけです。また、アンテナピクトが「UQ mobile」と表示されるのも同じ理由です。
キャリアバンドルの中身は?
キャリアバンドルはどれを配信するか細かく定義されています。こちらで確認することができます ↓
例えば、上記URLからUQ mobileのVoLTE対応SIM(ICCID:89813000581)を探してみた結果は下記の通り。
ICCIDが89813000581〜(VoLTE対応SIM)の場合は、バンドルネームが「KDDI_UQ_LTE_only_jp」となっていますね。では、「KDDI_UQ_LTE_only_jp」で再度検索してみると、
画像が細かいのでちょっと見難いですが、iOS 10.0のバンドルURLは
となっています。
キャリア設定アップデート UQ mobile 26.1かつiOS 10.0以上ではこれがインストールされることになります。
拡張子が「ipcc」ですが実態はZIPファイルなので、「.ipcc」部分を「.zip」に変更し、解凍ソフトなどで解凍すると、payloadフォルダに「KDDI_UQ_LTE_only_jp.bundle」が入っています。KDDI_UQ_LTE_only_jp.bundleの中身を覗いてみると、プロファイルリスト(plist)などがあり、これらに情報が収められています。
supported_devices.plistの中身を見てみるとXMLとなっており、
- N71 → 6s
- N66 → 6s Plus
- N69 → SE
が定義されており、これらの端末では、APN構成プロファイル不要&テザリングが可能なことを示しています。
iPhone 7は現状ではAPN構成プロファイルをインストールしてあげる必要あり。テザリングは使えない。
そして、iPhone 7でAPN構成プロファイルをインストールしなければ使えない、テザリングが不可なのは、このリストに記載されていないためとなります。
APN構成プロファイルなしでの状態(データ通信不可)。キャリアはKDDIの表示。
アンテナピクトは4G表示になっていますが、データ通信は不可。
※ iPhone 7でもAPN構成プロファイルをインストールしてあげれば、データ通信は可能、テザリングは不可。
iPhone 7でAPNの設定なしで使えない&テザリングできないのは残念。
ただ単純に間に合わなかっただけで今後追加されるのか、KDDIとの関係上(auではiPhone7を今取り扱っている)ので、それを配慮したものなかは謎ですが、できれば追加してほしいところ。
まとめ
条件はありますが、UQ mobileではAPN構成プロファイルのインストールが不要になり、テザリングが可能になりました。また、アンテナピクトも「UQ mobile」と表示されるようになりました。
この条件をまとめてみると、
- キャリア設定 UQ mobile 26.1
- iPhone 6s/6s Plus/SEのどれか(iPhone 7を含め、他のiPhoneは対象外)
- (iOS 10.0〜)
となっています。
APN構成プロファイルをインストールせずに使えるのは非常に手軽で、一般人は分かりづらかった部分が無くなり利便性と手間ははぶけそうです。また、多くのSIMを所有していると入れ替えの際に一回一回APN構成プロファイルの削除とインストールを繰り返す必要があり、かなり手間だったので、APN設定不要は助かります(そんな人は少ないでしょうが…笑)。
ただ、au系MVNOの中でも、テザリングが使える・使えないのような差が付くと、ユーザー側も勘違い等が多く出てきそうだなとも。特にau系MVNOはVoLTE対応SIM/非対応SIMなどもあり、かなり分かりづらいのでよく調べる必要性がありそうですね。
とは言え、とにかく、iPhone 6s/6s Plus/SEを使って格安SIMに乗り換えてみようと思う方は、ドコモ系MVNOと共に「UQ mobile」も検討してみるとよいかもしれません。APN構成プロファイルのインストールをしなくて良い分、UQ mobileの方が扱いやすそうです。
iPhoneで、au系MVNOを検討している方、UQ mobileを利用している方は是非参考にしてみてください。
余談:
ちなみに、準キャリアとなるY!mobileでさえ、SIMフリーのiPhoneを使う場合はAPN構成プロファイルをインストールする必要があります。また、テザリングは使えません…。なので、UQ mobileが対応したことはかなりスゴいことかも!?
公式
UQ mobile
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